« 私だけの部屋 » この思いは 幼い彼女の心を誇りで膨 らませる。大人になった気分だった。なのに 洋服を脱いでペ チコート姿になり いよいよ鍵を廻す時になって 少女はため らった。心配になる。もし変な人がきたら どこから逃げたら いいのかしら 震える気持ちで、又 ドアを開けてみると向かえの部屋の真中にラザールがまだ立っていた。少女を見て 「どうしたんだい 何か必要なものが有るの? 」 と尋ねる 少女は真っ赤になった。嘘をつきたいと思ったけれど本当の事 を言うことにした。「 つまり あのー 鍵でドアが閉まると とても怖いの。」「閉めないよ 分かるドアを叩いたら君に来 てっていう合図 君だよ。 分かったかい。 女中じゃなくって 君、 」ラザールは少女の真っ直ぐで優しい気質に魅了されてい た。 少女の方に進み 腕を伸ばす「 お休み」ポリーヌは彼 の首に身を投げ出した。小さな細い腕で抱きしめる まだ子供 の半ば裸の姿だったが気にしている素振りもない。 「おやすみなさい お従弟さん」
5分後、彼女は勇敢に蠟燭を 吹き消し、ベッドの中で丸くなり、モスリンで覆った 旅の疲 れで長い間眠り 夢を見つづけていた Émile ZOLA -la joie de vivre 訳 市川真紀子
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