昔の肖像画のような優雅なEmile JUMEAU PREMIERE

わたしよ。 オンディーヌ! 月の光のお城の 長い菱形の窓辺で  オンディーヌの姉妹達。 流れの中で泳ぐの。 流れは全部 お城への道。 くねくねとつながっているの。 お城は 湖の底 炎と土と空気  その3つでできていて ゆらゆらしている。......歌声は囁き続ける。 その指輪を受け取るように懇願する。 オンディーヌの花婿となって 共に城を訪れ 湖の王となるために。 この地上に愛する女性がいると答えると...怒って、嘆き、数滴の涙を落としたあと 高い笑い声を挙げ、気を失って 氷の泡となって消えてゆく。 その白い跡が 蒼いステンドグラスの水面に 長い尾を引いている。  
翻訳 市川真紀子
   ラシーヌ の悲劇 フェードル より

禁じられた愛に胸をかきむしる高貴なフェードル妃 ジュモ―が 演じます。 



1880年頃 ポートレイトの直ぐ後に誕生した初期のエミールジュモーモデル。首の後ろには 大きく番号が 彫られその下にEJと記されています。
顔立ちにはまだポートレートの特徴がみられ美しい瞳はスパイラルのアーモンドアイ、 ビスクの品質はジュモ―社の苦労の種でした。 1878年 ジュモ―は輝かしい金賞をとります。 エミールジュモ―の代になってから初めての金賞でした。 当時のビスクはプレス 石膏の型版に ドロドロした粘土を流し込む型流しではなく 丁寧に手で粘度を押し付けてゆきます。微妙な線もでますし 焼き上がりのビスクの品質 もよいのですが手間がかかる作業でした。 彫刻のような繊細なビスク 美しく見開いたアーモンドアイ 細い眉 品の良いすっきりとした睫毛  小さな鼻と口元。口元の右上の微妙な窪みが 時々くすっと微笑んでいるかのような 素敵な表情があります。 口元の右上の微妙な窪みのせいでしょうか。 限りなく芸術品に近づいているお人形さんです。薄く繊細なビスクをランプで透かすと額の中央にラインが映ります。ところがビスクの表面にも内側にも修復の跡も傷もなく 完璧な状態 おそらく製造の過程でできた些細なヒビが 表面には見えなかったため 其の儘 絵付けをし仕上げたのだと思います。


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